ひらせのはなし

シルクロードを経て日本に伝わったものといえば…

瑠璃杯(るりのつき)とか螺鈿細工(らでんざいく)の琵琶とか、正倉院の品々が思い浮かぶと思うのですが…主に土着品種のワインを扱う者としてはやはり何といっても、「甲州」ですね。本当に特別な存在です。

「山田錦」と「コシヒカリ」では用途や性格が大きく異なるように、ぶどうも「ワイン用品種」と「食用品種」の間には揺るぎない高い壁があります。「巨峰」でワインをつくっても、決して「ピノ・ノワール」のようにはなりません。歴代の欲深い酒飲み先人たちの総意としては、『ワインにすると美味しいのはやはり何といっても、欧州が原産である「ヴィティス・ヴィニフェラ種」に属するぶどうじゃな!』なのですが…

そう、そうなんです。その「ヴィティス・ヴィニフェラ種に属するぶどう」がラクダにのって日本に伝わり、奈良〜平安時代にはその生息が甲府盆地で確認され、そして今なお栽培されているのが「甲州」なんです。ぶどうは遺伝子が変化しやすい果樹で、そのためその土壌や気候にあわせて姿形を変えていきます。「甲州」は1000年近い時の流れの中で甲府盆地に適合しつつ、「寄り添う人々の嗜好にあわせた株の選抜」が繰り返されながら土着化した、日本が誇る「ヴィティス・ヴィニフェラ種に属するぶどう」なのであります。

外観は非常に淡いライムイエロー色。グレープフルーツにライムピール、青肉のメロンに柑橘の花の香り。伸びやかな酸味で澄んだ果実味、柔らかい苦みのある余韻。11.5%

伝統とは灰を愛でることではない、
火を絶やさないことだ。

「ワインをつくりたいとは思わないんデスカ?」と訊かれることもしばしばなのですが、残念ながら私にはその根性と適性(毎日早起き、ほか)がありません。ただ、もし日本でつくるとなれば、甲府盆地での甲州ワインづくりに挑むだろうと思います。現在過去未来のすべての農家さんと生産者さんに最大限の敬意を払いつつ、美味しい甲州とともに皆さまのご来店をお待ちしております。