ひらせのはなし

Gattinara

そのワインの香りや味わいの全体的な印象を
エチケット(ラベル)と共に記憶することはよくあります。

書き留めたメモでも思い出せるのですが
エチケットを見て印象が甦ってくることもしばしばです。

そしてごく稀に、あまり沢山ではないのですが
瓶のシルエットと共に記憶するという場合もあります。

ガッティナーラ産のワインは品種・土壌・醸造・気候の特性上、じっくりと熟成させる必要があります。この作り手は、長い熟成を経て生じた澱が首元で止まるようにと考えて、60年以上前にこのデザインを採用しました。(グラスに注ぐときは、エチケットを下にして瓶を持つのが正解です)

私はこのシルエットを目にすると、このワインの香りや味わいの印象と共に、ガッティナーラの町を訪れた時のことも甦ってきます。9月半ば過ぎですっかり色付いていた畑の葡萄(ネッビオーロ)や、明朝のキノコ狩りについて熱心に電話会議をする食堂のお婆ちゃん。(どんなキノコが採れるのかと尋ねると「何を言っているの?この辺りの森にはポルチーニしか生えないわよっ」と言われました…)ガッティナーラの南側に広がるイタリア随一の米所の平野部のどこまでも続く稲穂の絨毯と、地元のサラミを使った滋味深い味わいのリゾット。(フライトで歯痛が悪化して歯医者さんにお世話になりなんとか回復して、旅2日目にしてようやくの初の食事が驚きの美味しさでした)そして、ガッティナーラの駅でもずいぶんと電車を待ちました。(結局現れず)

春になったら、右端の大きな3,000ml瓶を抜栓して
グラスワインとしてお楽しみ頂こうと思っています。